(2015.09.30) |
我がふるさとに椰子ありて
国際交流員 森下アンダーソン実砂雄
初秋のある日。岐阜市付近の幹線道路では大変な交通渋滞が起こっていました。その原因は、今年の全国育樹祭のリハーサルでした。日本では育樹祭が秋季に開催されますが、ブラジルでは9月に春分を迎えるため、自然の象徴である樹木にちなんで、9月21日を「木の日」に指定しています。
ブラジル文学の名詩「流離の歌」に椰子の木が描かれています。19世紀にゴンサウベス・ジアスによって書かれた詩ですが、ブラジルにしかない豊かな自然の風景が浮かび上がります。以下、文語調の和訳(古野菊生 訳)になります。
流離の歌
我がふるさとに 椰子ありて サビアひた啼く その蔭に
ここにして聴く さえずりの 似るによしなき 愁いかな
(中略)
この国に見む すべきもなき 美しきもの得もせずに
サビアひた啼く かの椰子に また逢うことも あらずして
(出典 ブラジル 諸人来たりて)
ゴンサウベス・ジアスはブラジルからヨーロッパに渡って、ポルトガルの名門・コインブラ大学在学中に詠んだ詩だと言われています。ふるさとが恋しかったのですね~。同じ詩の一節を直訳(岩本順子 訳)しますとふるさとへの想いがよく分かります。
ぼくたちの空にはもっとたくさんの星がまたたき、
ぼくたちの沃野にはもっとたくさんの花が咲き、
ぼくたちの森にはもっとたくさんの生命が棲み、
ぼくたちの人生にはもっとたくさんの愛がある。
(出典 百人社通信)
ブラジルは世界の中でザ・ベストの国だとは言えませんが、ふるさとについては日本の歌の文句の通りに「忘れ難き故郷」は「誰にもある」という風に感じ取っています。海外やどこかよそで暮らすことによって、ふるさとと今現在の地元のことをより理解していくことができるのではないかと思います。
岐阜は自然に恵まれていますが、機会がありましたらみなさんにぜひブラジルならではの星、花、生命や愛の素晴らしさを満喫していただきたいです。
参考
http://blog.livedoor.jp/solbras-taka/archives/1025463248.html
http://www.shinjuku-shobo.co.jp/column/data/iwamoto-jyunnko/002.html
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