(2015.11.30) |
散るモノ
国際交流員 森下アンダーソン実砂雄
晩秋。このところ暖かい日が続いて、11月にして過ごしやすいですね。しかし、温度差が少なかったため紅葉の色づきが進まず、例年の美しい景色が見当たりません。今年は枯れ落ち葉のカーペット・散り紅葉を見る機会がないでしょう。そこで、街路樹のイチョウの真っ黄色の落ち葉に視線を向けました。
朝、街中を歩きますと、歩道に落ちてしまったイチョウの葉がきれいに片づけられていることに気がつきました。もう少し歩いていきますと、ところどころイチョウの落ち葉がたまっていることが分かります。処分を免れた葉は、強風と共に人通りの少ない道の隅っこへ飛ばされるからでしょう。多くの場合は、シャッターを閉めているお店や空き家の前に止まり、掃除してくれる人がいません。寂れた街を見ると、とても寂しいですね。
ブラジルでは、「ガリー」という職業があります。雨の日、晴れの日、寒くても、暑くても、オレンジ色の作業服を着てほうき等を持ち歩き、街の清掃に携わる作業員のことです。ゴミ収集作業員と同様、清潔できれいな街づくりに欠かせない人材です。国民が完全にポイ捨て等をやめることは理想ですが、ガリーのような労働者を正規雇用者として契約を結ぶことによって失業率の低下につながるのではないかと思います。
選挙のある年は、選挙活動で不適切に大量のチラシや広告を散らす政治家は少なくありません。そのような年には、ガリーの仕事が倍増するでしょう。重労働ですが、他人の残した汚れを元通りにきれいにしてくれるので、感謝します。残念ながら、ブラジルでは散り紅葉や散りイチョウを見たことありませんが、政治家の選挙活動の「散りチラシ」を何回か見ています。
左【枯れ落ち葉のカーペット】(京都市右京区)
右【散りイチョウ】(岐阜市神田町)
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