(2016.07.25) |
夏場に欠かせない食品
最近、毎日太陽がジリジリと照りつけ、うだるような暑さが続いています。夜、熱した油で水滴がはじけたような暑苦しい蝉の合唱が聞こえて、寝苦しい日々が続いています。中国の「四大ボイラー都市」と呼ばれる暑さで有名な都市である南昌市出身の私もさすがに岐阜の猛暑にお手上げです。日本人は夏に、食べたくなるのはやっぱりひんやりしたかき氷ですね。あのふわふわサクサク食感のかき氷を食べると暑い夏も吹き飛ばされそうです。その他に日本の夏の代表的な食べ物と言えば、冷えたビール、スイカ、鮎などが挙げられるでしょう。
ところで、中国の哲学思想に基づく中医学の考えでは、「健康」とは身体の陰陽のバランスがとれるていることです。食べ物にも体を暖める物と冷やす物があり、熱を体内に溜め込みやすい夏の時期、冷やす食べ物、熱を冷ましてくれる食べ物を多めに食べるほうが良いとされています。従って、「清熱消暑」(熱を下げ、暑気を払う)、「除煩止渇」(イライラを和らげ、のどの渇きを止める)の作用がある緑豆は冷やす効果のある代表的な食べ物として、夏に中国人に好まれます。食べ方は、適量の緑豆を米と一緒に炊いて作る「緑豆粥」や、水分の多い「緑豆汤」などがあります。一応「汤(tāng)」[1]と呼ばれいますので、スープの一種ですが、鶏ガラや豚ガラなどでダシを取るのではなく、シンプルに豆を煮込むだけです。2時間以上水につけた緑豆と水を鍋に入れて煮ます。緑豆がやわらかくなったら火を止め、好みの量の氷砂糖で味付けしてできあがりです。とても家庭的な料理です。基本的には鍋や炊飯器を使って炊きますが、私は先週末、輸入食材販売店で緑豆を買って、先日入手した日本のフードコンテナーで「緑豆汤」を作ってみましたが、これもなかなか良い出来でした。
夏になると中国の町の至る所で「冰冻绿豆汤(bīng dòng lǜ dòu tāng)」を売っている屋台やお店が見られます。緑豆、あるいは緑豆とハトムギをグツグツ煮てその後冷まし、冷蔵庫の中でヒンヤリと置いて丼鉢に入れてお客へ提供します。中国人はこのスープに限らず、この夏のシーズンはとにかく緑豆の虜になります。ほかには緑豆製品のアイスキャンディーも夏の中国夏の定番品です。先頭には練乳、中間層が小豆、下と外側のコーティングが緑豆です。ちなみに値段は4元で、日本円だと65円に当たります。安いでしょう。緑豆だけのアイスキャンディーもあり、2元だけかかり、ごく国民的なスイーツです。
その他に、暑気払いの夏の飲み物として、烏梅(うばい)、山査子(さんざし)で作られる消化促進作用のある酸梅湯(さんばいとう)、体内に溜まった余分な水分を出す利尿作用のある冬瓜湯(とうがんとう)、解熱解毒効果のある菊花茶(きっかちゃ)、利尿、清熱、生津などの作用のある西瓜の皮を煮出したスープなどがあります。皆さんはネットでレシピを探して作ってみてはいかがでしょうか。もちろん暑気を払うためにお腹をあまり冷やすと、また身体の陰陽のバランスが崩れますから、食べ過ぎないようにお気をお付けください。
最後に、中国の養生思想に関する諺をいくつか紹介したいと思います。
"早吃饱,午吃好,晚吃少。"
(「朝は腹いっぱい、昼は栄養バランスよく、夜は少なめ」)
"饭后百步走,能活九十九。"
(「食事後百歩歩けば、九十九まで生きられる」つまり、食後ゆっくり散歩すると、健康を保てます。)
"千金难买老来瘦。"
(「大金をはたいても老後のスリムな体型は買えない」)
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