(2016.08.26) |
2016年8月5日に開幕したリオデジャネイロオリンピックが17日間の日程を終え、幕を閉じました。日本とブラジルの時差は12時間あるから、みなさんはきっと生放送で応援しようと、寝不足の日々が続きましたね。私は体操とバレーボールの観戦が好きで、試合があるたびに、テレビの前に釘付けになり、日本チームと中国チームを応援しました。でも、中国チームの試合の生放送が少なく、とうとう中国女子バレーボールチームの金メダル獲得の素晴らしい瞬間を見られなくて、ちょっと残念でした。
オリンピックで観客が注目するのはなにも緊張感あふれる熾烈な戦いだけではありません。個性あふれる選手や試合外でのハプニングなどもまた注目の的となりました。表情豊かで天然過ぎる言動をしている女子水泳選手傅園慧、小さい頃から泣き虫愛ちゃんと呼ばれ、中国語も堪能である日本の国民的なアイドル福原愛、石川佳純選手も思わず赤面するかっこいい中国の馬龍卓球選手などはとても印象的でした。
ところで、競泳会場において、各国代表の全身に見事な「カッピング(吸い玉療法)の痕」が残っていることにみなさんは気付きましたか。特に、米国競泳チームのエースであるマイケル・フェルプス選手の身体に、丸く色の濃い跡がたくさん残っているのを、注意深い観衆はきっと見逃がしていないでしょう。よく観察すると、これらはみなカッピングの痕でした。吸い玉療法とは、数千年の歴史をもつ中国の民間療法のひとつで、中国では今でも愛好する人はかなり多いです。缶を用いて陰圧を利用する治療法で、「火缶」「 抜缶」と様々な名前で呼ばれています。皮膚に吸い玉を吸着させ、刺激を与えることによって、血液を循環をさせ、血行を良くします。 このように、体内の深部にまで作用し強力なマッサージ効果を得ることができ、免疫力の向上、老化予防、自律神経の調整、体内の有害物質の排出、生理痛の改善、アレルギー症状の緩和などの効果があります。老廃物を体の深い部分から皮膚表面の代謝の良い部分に引っ張り出し処理させる方法で、ダイエットや美容にも効果があるらしくて、最近では女性を中心に人気が出てきています。 フェルプス選手をはじめとするアスリートの多くは恐らく薬物の副作用を心配し、その代わり怪我の治療や疲労回復のためにカッピングを採り入れているのでしょう。実際に、フェルプス選手は今回のオリンピックで絶好調で、人生23個目の金メダルを獲得しました。
だが、このような治療法は外国の方、特に欧米の人にあまり受け入れられなくて、米国人専門家が、カッピングの効能について疑いの声を上げたこともありました。カッピングではないが、それと似ている「刮痧」という治療法(水牛の角などの器具に油や水をつけて患者の胸や背中をこすって皮膚を充血させ、内部の炎症を軽くする治療法)でアメリカに住んでいる病気にかかった孫を祖父の許大同は治したが、予想外のことに、子供の体に付いた刮痧の痕が事情の分からないアメリカ人に見られ、誤解され、児童虐待という罪名で許大同を告発した、という内容の映画「刮痧」があります。この映画には、中国の伝統的な民間療法とアメリカ文化の背景の大きな違いから生じた摩擦と誤解が描かれています。日本人の皆さんも吸い玉の施術でできた赤紫の跡(溢血班)を見て、「あれは痛いですか。大丈夫ですか。」などの疑問が生じるでしょう。実はカッピングを受ける時、最初の数分間はつねられているような感覚があって、初めての方は慣れないかもしれませんが、しばらくして、血行が良くなって温かくなり気持ちよく感じます。痕が出るというのは皮膚から老廃物や毒素が排出された証拠で、しかもその痕も数日間経つと自然に消えてしまいますから、全然心配は要りません。
日本にもカッピングの治療を受けられる治療院などがあると思いますが、もし中国へ行く機会があれば、カッピングの治療院にも行ってみませんか。お財布に優しい値段で本場のカッピングを体験できますから。
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