(2016.12.22) |
日本は今、どこの街もイルミネーションのキラキラに包まれ、クリスマスムード一色です。中国でも近年経済発展に伴い、西洋化の波が押し寄せ、クリスマスが近づくと、町並みやビル群に豪華絢爛なクリスマスオーナメントが飾られ、ライドアップが施され、人々をロマンチックな気分にさせます。クリスマスを宗教的に祝う必要の無い国なので、若者、特に恋人同士はプレゼントを贈ったり、ディナーに行ったりして、この日を特別な日として過ごします。この点では、中国はまったく日本と同じです。ところが、ここ数年、都市部の若者を中心に、クリスマスプレゼントとしてリンゴを贈る習慣が広まりました。リンゴとクリスマスはどのような関連があるのか、みなさんはきっと不思議に思うでしょう。実は中国語では、クリスマスイブのことを「平安夜(píng ān yè)」と言い、リンゴは「苹果(píng guǒ)」と言います。このりんごの苹(píng)とクリスマスイブの平(píng)が同じ発音なのです。この「平・苹(píng)」の同音文字をかけて、リンゴを「平安果(píng ān guǒ)」と名付けプレゼントにするビジネスが生まれました。しかも、その「平安果」はただのリンゴではなく、フィルムやリボンなどでラッピングされているリンゴです。こうしてきれいに変身したリンゴに「平安に一生をおくれますように」という願いの意味が込められ、通常の数倍の値段で売られます。「平安果」は恋人同士に限らず、家族や友人、先生、普段お世話になっている同僚や隣近所へのクリスマスプレゼントとして大活躍しています。そして、クリスマスにリンゴを贈るのは若者だけの習慣から、子供から中年層まで、幅広い年齢で習慣になっているので、この時期リンゴが飛ぶように売れるのも無理のない話です。まさにリンゴの商売人にとってのうれしい書き入れ時です。私も中国の大学に勤めていた時、去年もおととしも学生さんからリンゴをいっぱいもらい、学生さんの気持ちに感謝しつつ、半月ぐらい毎日頑張ってリンゴを食べていました。
クリスマスが過ぎたら、次の楽しみはバレンタインデーですね。中国ではバレンタインデーの時、男性が恋人の女性にプレゼントを用意するのは普通です。彼女の趣味に合わせてプレゼントを選ぶのですが、バラの花束は一番人気のあるプレゼントです。日本では人前で大きな花束をもらうと恥ずかしいとか、実用的ではないとかの理由でうれしくない女性がいると聞いていますが、中国ではバレンタインデーの日に派手な花束を持って歩くのは自分がどれほど愛されている、大切にされているかをまわりの人に誇示する最高のチャンスだと女性は思い、花束をもらうと喜ばない人はいません。特別なラッピング、高級な花材を使った高級感溢れる花束は、バレンタインデーの日になると値段が通常の5倍ぐらいに高騰し、しかも、ずいぶん前から予約しないと手に入らないぐらいです。懐が寂しい男性やバラの花が手に入らない男性を狙って、最近創意工夫が凝らされた「野菜の花束」が登場しました。野菜や果物を束ねた風変わりなブーケのことです。見た目が鮮やかでおしゃれなだけでなく、何よりももらう側はフレッシュな果物や野菜を食べられるのが魅力的です。ユニークでヘルシーで、サプライズに満ちた野菜の花束で女性の心をつかもう、と宣伝している商売人の商魂はすごいです。実際に、野菜の花束で彼女へのプロポーズに成功した人がいます。プロポーズの後、その野菜を食材に使い、彼女に料理の腕を見せたそうです。普段はなにげなく見過ごされそうな野菜は大変身を遂げ、二人を結婚の道に導きました。本当にめでたし、めでたし。
コメントする(comment) (ここをクリックすると入力欄が表示されます)