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英訳された日本の小説の人気ぶりについて

それぞれの国で人気がある小説は、言語、文化によって違います。しかし、翻訳版のおかげで、外国語で書かれた小説も他の国で読むことができます。この記事のトピックは、「翻訳された小説」です。特に、原文が日本語で、英語に訳された小説です。2年前、イギリスから日本に来る前、イギリスで人気の本屋には、日本の小説が多数並んでいました。今から、日本語から英訳された小説と作家を紹介したいと思います。

 

数年前から「クールジャパン」のポップカルチャー運動のおかげで、欧米で漫画とアニメが人気になりました。多くのイギリスの本屋には、英訳された漫画が並ぶ本棚があります。その「クールジャパン」ブームには、小説は入っていませんでした。確かに、英訳された小説はありましたが、今よりずいぶん少なかったです。最近、イギリスでは、「クールジャパン」のピークは過ぎましたが、日本の小説はブームになっていると感じます。

 

イギリス人が「日本の文学」というと、村上春樹(むらかみ はるき)を思い浮かべます。1980年代以降、14冊の小説が英訳されました。その他、短編集の英語版も3冊出版されています。村上春樹の作品での主なテーマは夢と現実、記憶といった哲学的なことです。ファンタジーの要素がある作品も多いですが、ジャンルを問わず、テーマは大体似ています。イギリスを含め世界中で、本当に人気になりました。イギリスで一番有名な日本の小説家です。

 

村上春樹以外では、最近の日本の小説ブームの前に、村上龍(むらかみ りゅう)、桐野夏生(きりの なつお)及び吉本ばなな(よしもと ばなな)の3名の作品が英訳されていました。特に1990年代に多くの小説が翻訳されました。村上氏と桐野氏の2名の著書はホラージャンルが主のようです。悪人と犯罪、裏社会についてです。翻訳された理由として、村上龍の小説を映画化した「オーディション」が欧米で人気になったからだと思います。その後、小説「オーディション」は英語に訳されました。しかし、イギリスで、村上龍氏の一番有名な小説は「イン ザ・ミソスープ」です。

桐野夏生氏は、裏社会に関係がある女性について書いています。桐野氏の著書では、貧困などの問題により、社会になじめないキャラクターがよく登場します。桐野氏は多くの小説を出版していますが、英訳されたは小説は4冊のみです。私が桐野氏について調べている時、元々はロマンス小説を書いていたと知り、驚きました。英訳版の「アウト」は桐野氏の著書の中で一番有名な小説ですが、ロマンスジャンルとは全然違います。

吉本ばなな氏と言えば、特に「台所」という小説が有名です。日本語版は1980年代に出版されて、1990年代に英訳されました。今までに10冊以上は英訳されましたが、日本で出版された作品の数と比べると少ないですね!

 

モダンクラシックの作家、例えば夏目漱石(なつめ そうせき)と三島由紀夫(みしま ゆきお)の作品も英語に訳されています。例えば、夏目氏の「吾輩は猫である」と「こころ」です。夏目氏は英文学者でしたので、イギリスと日本の関係の先駆けです。文学は、国際交流推進の手段にもなり得ます。

もっと古い作品になると、紫式部(むらさき しきぶ)による、11世紀の源氏物語も英語に訳されています。実は、いくつかの英語版が出版されています。主に6冊あるようです。1882年から2015年まで、複数の人によって英訳されました。源氏物語は長いので、当初は、数章のみの英語版が出版されました。1976年に初めて全巻の英語版が出版されました。2001年に出版された英語版は、内容が一番正確だと言われています。

 

現在、「社会問題」、「人間関係」などをテーマにしている小説が多いです。スタイルは昔の小説と異なりますが、テーマはあまり変わっていないと感じます。

2010年~2020年代以前に英訳された小説とその作家が、日本の文学が欧米で人気になる道を開いたと言われています。最近、イギリスで有名な日本人作家は、川上弘美(かわかみ ひろみ)、川上未映子(かわかみ みえこ)及び村田沙耶香(むらた さやか)です。小説では、有川浩(ありかわ ひろ)による「旅猫リポート」、川口俊和(かわぐち としかず)による「コーヒーが冷めないうちに」及び平出隆(ひらいで たかし)による「猫の客」が人気です。

 

最後に、ノーベル文学賞を受賞した石黒一雄氏(カズオ イシグロ)について少し書きたいと思います。イシグロ氏もイギリスで本当に人気です。今までは、日本語から英訳された小説について紹介しましたが、彼の小説は初めから英語で書かれています。イシグロ氏は日本で生まれましたが、子どもの頃からイギリスに住んでいます。この記事のトピック(英訳された日本の小説)とは少し違いますが、イシグロ氏の小説はとても有名なので、紹介しました。8冊の小説すべては、イギリスで出版後、すぐに日本語に訳されました。

 

英語に訳された日本の小説は、海外での日本文化の理解を推進していると思います。英語訳のおかげで、日本に興味がある人は、日本の文学を簡単に読むことができます。以前は、日本の小説が英訳されるまでに時間がかかることが普通でした。しかし、今は、イギリスの出版界での日本の小説人気もあり、すぐに英訳される小説がより多くなりました。しかし、日本で人気のある小説が、必ずしもイギリスで人気になるとは限りません。イギリスの出版社は、イギリス人読者にうける小説を選ばなければなりませんね。最近の英訳版の日本の小説ブームで人気のある小説では、「女性の差別」を含めて「主人公の社会的地位」、「社会に溶け込むこと」とその難しさ、「人生の儚さ」のようなテーマがよくみられると思います。猫が登場する小説も本当に人気です!「吾輩は猫である」をはじめ、多くの日本の小説には猫が登場すると感じます。イギリスにも、猫派の人が多いので、猫が登場する小説はよく訳されています。

 

 

日本語版と英語版(イギリス)の表紙の比較:

  • 村上春樹による「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」
  • 村上龍による「イン ザ・ミソスープ」
  • 桐野夏生による「アウト」
  • 有川浩による「旅猫リポート」
  • カズオ イシグロによる「クララとお日さま」(原文は英語)

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